(visa) 家族滞在の許可要件のうち所得に関して


~家族滞在の許可要件(所得項目)に関して~


家族滞在とは、扶養者が就労系(数種類の在留資格に分類される)または留学の在留資格を付与されている場合の、配偶者または実子(嫡出、非嫡出を問わない)・養子に関して該当性が見いだされる在留資格であり、子の年齢は問わないとされている(成人でもよい)。

その許可要件のうち、扶養者の所得について考察してみる。


しばらく前は、就労系、留学を問わず問題なく在留していれば配偶者の呼び寄せは認められる可能性が高くなっていたが、最近では、とりわけ留学生の配偶者がアルバイト目的で来日するケースが増え、留学生本人のアルバイト時間超過(合法な範囲である1週間28時間以内の原則超)も多く見受けられることもあり、留学生の配偶者の呼び寄せは厳しいものになっている。

留学生の場合、扶養者本人が学習目的の来日であることが前提のため、家族の一体性として配偶者の呼び寄せが叶った後に、二人分の生活費をまかなうために、配偶者のアルバイトを許容するというスタンスがとられていたが、これが逆手にとられた格好で、アルバイト目的での夫婦による来日がトレンドとなってしまった。

それはさておき、留学生はもともと学習がその主たる滞在目的であるので、扶養者本人の所得は少ない方が好ましい。(手持ちの資金等において生活費がまかなわれるのがもっとも好ましいと推察する。)


一方で、扶養者が就労系の場合は、配偶者は扶養者の所得によって生活することが前提であるため、配偶者のアルバイトはやらなくても生活できるが、時間があればやってもよいので、申し出があったら許可するというスタンスだとわたしは理解している。

したがって、就労系扶養者の所得は、扶養家族分の生活を十分にまかなっていける額が要求される。よって、扶養者が単独で日本に在留することとなったのち、配偶者を本国から呼び寄せる場合は、まず、扶養者の所得が夫婦2名分の生活費に見合っているか否かが審査される。さらに、子供も本国から呼びたいとなった時には、家族人数分の生活が十分にまかなえるだけの所得を得ているか審査されることは当然である。

ここで、日本において、一定水準の生活をまかなえる金額とはどのくらいであると考えられているのか、言い換えれば、家族滞在の許可基準とされている金額はどのくらいなのかが気になってくる。

在留資格の最終ゴールである永住者になるための永住申請においては、1人あたりの所得を税引き前でおよそ78万円を最低ラインとしているようである。(これは、最低限であるため、職業にもよるが、実際の永住審査においては世帯当たり200万を超えていなければ許可は難しい。最近の傾向はさらに高く、300万を超すことが必要ともいわれている。)

それでは、在留期限のある家族滞在の場合も、1人当たりの所得基準を同額で審査基準としているのか否かが気に掛かる。また、この場合、本国の親に仕送りをしているなど、在外の被扶養親族が税務上存在していると、その人数もカウントされることに留意したい。

直近で取り扱った事案においては、扶養者の所得が前年190万であったが、転職に伴い直近年度で380万に増額していた。配偶者は日本に滞在しており、そのほかに扶養者の両親が扶養親族として税額控除の対象となっていた。

したがって、本人を含めて現況は4名の生活費が給料からまかなわれている計算となっていた。ここへ、昨年本国で出生し扶養者の両親にあずけていた扶養者の実子を招聘したいという希望であった。すると、都合5名となり、上記の計算では最低390万の所得が要請される。
本国の両親を扶養から外して人数あわせをおこなうことも検討したが、申請を急いだこともあり、現況で申請し、当局の見解を探ることにした。

結果としては、実子の入国はみとめられ、理論上の計算からは基準を少し下回ったが結果は希望通りとなった。

扶養者の勤務先の優良性も訴求したため、一定の評価を得られたとも考えられるし、また、第一子という点も、家族の一体性を強く主張できる要因であった。

永住審査の場合は、絶対に超えていなければならない所得ラインであるが、在留期限のある家族滞在の場合は、少し’良心的’に審査してもらえたように思う。




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