投稿

6月, 2019の投稿を表示しています

(visa)  人生設計と在留資格の関係

~人生設計と在留資格に関して~ 日本人と婚姻していた外国人が 婚姻関係の破綻 と共に在留資格を失うケースがある。その際、外国人自身が自分の人生設計についてどれだけ具体的に’準備’をおこなっていたかが、その後の彼または彼女の生活を大きく左右することがある。 現行の日本法令で資格該当性を認めている在留資格は、日本での所属先によってそれを認めるもの(留学や就労系)と日本人または在留資格を有する外国人との関係性によってそれを認めるもの、および日本での在留実績を評価した結果付与されるもの(永住者)の3種に大別できるが、日本人と婚姻した外国人で「日本人の配偶者等」の在留資格を得ていた人は、離婚によって在留資格の該当性を失う憂き目に遭遇することになる。 つまり、日本に居住するための ビザがなくなる ということである。 そもそも、日本人配偶者との相互扶助関係によって日本で生活する必要性をもとめて、在留資格をえていたのであるから、「もっと日本で働きたい」「日本が気に入っている」という理由だけではこの国に残ることはできない。 もっとも、離婚はしたがそのほかの就労系の在留資格に相当性(在留資格を許可されるだけの基準をみたしていること)があれば、他への’乗り換え’によって日本での在留が継続できる可能性もあるし、長期間の在留によって生活の基礎が本邦に根付いたものになっているとみとめられれば在留資格「定住者」への変更がかなえられることもある。 離婚したときのことを考えながら結婚生活を送るというのは、相手に対して失礼であることは間違いないが、自分の人生を生きるのは自身でしかないから、リスク管理をしながら穏やかな結婚生活をおくることは罪悪ではないとわたしは思っている。 当方に相談にくるクライアントが、上記のような状況となり、日本に引き続き在留したいが「どのような方法がありますか?」「なんとかしてほしい」といったご依頼を持ってくる場合がある。 しかしながら、就労系の各種在留資格取得の相当性は、依頼人の過去の履歴(学歴、職歴等)によって判断されるものばかりであるし、日本への定着性から「定住者」の該当性、相当性を見いだそうとする場合も依頼人の過去の履歴(具体的には婚姻の継続が一定期間あることなど)が重要なポイントになるため、それらのどれも満たしていなければ、過去に遡ること

(opinion) 実習生たちに夢を聞く

~技能実習生に夢をきく~ 縁があって、昨年から100名ほどの技能実習生に関する仕事をいただいている。 在留申請と共に、技能実習法で規定されている「法的保護講習」も在留申請に先立って、すでに5年ほど前から請け負わせていただいている。 この講習では、入管法、労働法等、実習生たちが守るべき法律と彼らを守ってくれる法律に関して講義を行うのだが、監理団体の要請で、日本語の勉強を兼ねているため英語などを使用せず、「小学生に話すような日本語でわかりやすく、ゆっくり話す」約束にしている。 なので、「かいしゃでは、なんようびからなんようびまで、はたらきますか?わかるひと!」などと、できるだけ彼らに発言させる機会を作るようにしている。これは、日本語を練習するチャンスを与えるとともに、講義中に眠くさせない効果もある。(小学校の授業と同じ) ところで、先日、話のついでに「あなたの夢をおしえてください」といって、一人づつに発言を求めたところ、8名程度の受講生のそれぞれは、 「にほんごをたくさんべんきょうして、にほんごをおしえるせんせいになりたい」とか 「くににかえって、不動産さんのしごとがしたいから、おかねをためたい」 「子どもと一緒にくらすいえをたてたい」 「ざっかやさんをやりたい」 などと、各自、それぞれの夢を述べたが、そんなことに関して真剣に考えたことはなく、なんとなくその場で思いついた事を言った子もいたようにも思う。 もちろん、「本国に技術移転して国の発展に尽力したい」という思いはきっとあるだろうが(笑!笑!笑!)、だれも言わない。正直だ。 わたしの狙いは、 自分の夢って何だろう?と考え、一応、宣言してみる 機会をつくってあげることだった。 人間、「自分の夢」があるからどんな苦労も乗り越えられる、または乗り越えられると信じ進んでいけるとわたしは考えている。 20代の子たちが、知らない国にきて、自分の夢を実現するために3年間(または5年間)がんばって働いてお金を貯めたいと思っている。 あの子たちの夢は、これから様々に変わっていくかもしれないが、希望をもって一生懸命生きていく姿にわたしはエールを送りつづけたい。 依頼人たちの幸せを願うことが、この生業の目指すところ であるとわたしは思っている。

(opinion) 行政書士は LAWYER なのかに関して。

~行政書士はlawyer(法律家の英訳、欧米では法廷弁護士を指すようだ)なのかについて~ 2005年1月より弁護士が入国管理局申請取次(申請人たる外国人にかわって各種の在留申請書を入管に提出しその結果通知等を受領することができる資格者)に参入することとなった。 このとき、申請取次行政書士(行政書士は弁護士に先駆けて1989年にこの資格を得る事が可能となっていた)の間で「行政書士の英文表記はlawyerでよいだろうか?弁護士がこの業務に参入してくることになったから、この表現は、弁護士会からクレームを食らうかもしれんよ。」と行った主旨の事が話題に上がった。 当時、自分も参加していた全国区のメールグループでの話題であった。(当時は、SNSがまだ発達しておらず、メーリングリストというのを全国の秀逸と推測する諸氏が構成していて、同胞の紹介で自分も加えていただいていた。) この頃、自身はこの業界に登録してまだ、一年ちょっとの頃で、張り切っていたので、話題がでるとすぐに、「行政書士は絶対に、immigration lawyerと名乗るべきで、名刺にもそのように刷り込んで、弁護士に負けじとやるべきだ!」などど、熱く書き込んだ。 が、実際に顧客がつくようになってくると、とりわけ欧米の方々は、「裁判になったらどうやって乗り切るか?あんたのストラテジーを聞かせてくれ。」などと言ってくるので、非弁行為(弁護士法違反)をやることはできないので、困ったあげくにsolicitor(英国等で法定外弁護士を指すようで、資料の収集や書面の作成を行う職を指すようである)と名刺に刷ったりしていた。 しかし、最近では、その頃の自分について、ただ法律家を気取ってみたかっただけだろうと自己分析している。 実際には、我らの生業は、法律に基づく行政諸手続に叶うようあらゆる書面を作成していくわけであるから、自身が現在扱っている事案がどの法律の上で踊っているのかを理解していることは当然であるし、書類作成作業の元にある法律の「立法主旨」(その法律がになっている使命)を十分に頭にいれ、「条文」(具体的な指図)を間違えないように記憶していく必要はあるから、lawとは深い絆がある。 だが、依頼人にわざわざ、「わしらは、lawを扱っておりますので、よく勉強している人物であります。」と 名乗りを上げ

(visa) 家族滞在の許可要件のうち所得に関して

~家族滞在の許可要件(所得項目)に関して~ 家族滞在とは、扶養者が就労系(数種類の在留資格に分類される)または留学の在留資格を付与されている場合の、 配偶者または実子 (嫡出、非嫡出を問わない)・養子に関して該当性が見いだされる在留資格であり、子の年齢は問わないとされている(成人でもよい)。 その許可要件のうち、扶養者の所得について考察してみる。 しばらく前は、就労系、留学を問わず問題なく在留していれば配偶者の呼び寄せは認められる可能性が高くなっていたが、最近では、とりわけ留学生の配偶者がアルバイト目的で来日するケースが増え、留学生本人のアルバイト時間超過(合法な範囲である1週間28時間以内の原則超)も多く見受けられることもあり、留学生の配偶者の呼び寄せは厳しいものになっている。 留学生の場合、扶養者本人が学習目的の来日であることが前提のため、家族の一体性として配偶者の呼び寄せが叶った後に、二人分の生活費をまかなうために、配偶者のアルバイトを許容するというスタンスがとられていたが、これが逆手にとられた格好で、アルバイト目的での夫婦による来日がトレンドとなってしまった。 それはさておき、 留学生はもともと学習がその主たる滞在目的であるので、扶養者本人の所得は少ない方が好ましい。(手持ちの資金等において生活費がまかなわれるのがもっとも好ましいと推察する。) 一方で、扶養者が就労系の場合は、配偶者は扶養者の所得によって生活することが前提であるため、配偶者のアルバイトはやらなくても生活できるが、時間があればやってもよいので、申し出があったら許可するというスタンスだとわたしは理解している。 したがって、 就労系扶養者の所得は、扶養家族分の生活を十分にまかなっていける額が要求される。 よって、扶養者が単独で日本に在留することとなったのち、配偶者を本国から呼び寄せる場合は、まず、扶養者の所得が夫婦2名分の生活費に見合っているか否かが審査される。さらに、子供も本国から呼びたいとなった時には、家族人数分の生活が十分にまかなえるだけの所得を得ているか審査されることは当然である。 ここで、日本において、一定水準の生活をまかなえる金額とはどのくらいであると考えられているのか、言い換えれば、家族滞在の許可基準とされている金額はどのくらいなのかが

(profile)どのようなきっかけでこの仕事をすることになったのか。

~どのようなきっかけでこの仕事をすることになったのか。~ 2003年8月8日に行政書士に登録した。 外国人の在留申請業務を専門にすることはすでに決めていた。簡単な成り行きは以下。 名古屋市内にアメリカ人がオーナーをしている飲食店があって、店の奥で英会話教室を開いていた。先生はカナダの出身で、とてもフレンドリーな人物であった。飲食店は、現在も大変に繁盛しているらしいが、英会話教室は担当している人物がかわって、当時とは別の運営主体になっており、当時の先生はすでにこの場所から去っている。 わたしは、2000年頃からその個性的なスタイルの英会話教室に通っていたが、その間に、一念発起して、今の資格をとることになったが、具体的にはどのような分野の業務を扱うかは、まだ決めていなかった。当時、住宅関係の会社にいて、顧客が銀行からお金を借りるための抵当権設定とかローンの申し込み書作成とかの部署にいたので、そのあたりの関連業務で何かある業務をと漠然と考えていた。 そんな折、この教室で、行政書士という資格に関して、先生である彼と話す機会があった。英会話教室では「what do you do?」とか「what is your dream?」とか、自分の身の上に関する事を英語でしゃべってみるという課題が振られてくることがよくある。その時に、自分はこの国家資格に合格してちょっとした法律関係の専門家を目指してみることにしたなどと話したように記憶している。(法律関係の…そうだね。法律のちょこっとを勉強しないとできない仕事だよね。でも、そんなに超すごい法律家でもないと、今は知っている。) 先生から「what a nice dream!」「we don't have an English speaking lawyer in this area. many foreigners will need your cervices. 」<なごやでは、英語のはなせる専門家がみつからないから、君には、きっと、外国人のお客さんがたくさん来るよ!>と、大いに励ましていただいた。 当時は、その先生のお陰で、英会話が楽しくてしょうがなかったので、英語を話せて、しかも、困っている外国人の役に立って感謝される業務って何だろう?と考えるようになりました。そして、2年ぐらい試験のために勉強を