(FAMILY) 国際養子事案。

~情愛と難所~


日本人のご主人は、結婚10年になるインドネシア人の奥様(永住者)との間に子どもがなく、奥様がさみしがっていることを気遣って、奥様の本国から親戚の赤ちゃんを養子に迎えたいと考えていた。

このような事情の下、養子を予定している子どもの日本での在留許可をもとめて小職の処に相談に来られた。2016年の夏頃である。



入管法においては、件のご夫婦と当該子の間で養子縁組が完成することが、在留資格許可の要件(定住者7号許可基準)になっている。


しかしながら、インドネシア法制下では、日本とは違って、養子縁組手続きには裁判所の許可が必要となる。
この事案の場合、養親となる夫婦の一方と養子となる子どもがインドネシア人であるから裁判所の許可をかならず経る必要がある。



当初は、インドネシア国において弁護士等を代理人として専任し、裁判を進行させようと調査を行ったが、法令を調査していくと、養親となる外国人がインドネシアに2年以上居住する必要を当該国の法律で定めていることが判明した。

日本人であるご主人が、日本での仕事を辞めて、2年間インドネシアに居住することは、現実的に不可能であることから、手続きの方針は、日本において養子縁組手続きを完成させた上で、当該子の在留資格申請に臨むこととなった。



当該子は、養子縁組裁判の申し立てを前提に2017年2月に短期滞在査証で来日し、件のご夫婦の住所地を管轄する家庭裁判所に国際養子縁組許可を求めて審判の申し立てを行った。

結局、審判は2年半の調査(法令調査、実態調査など)期間を要した後、2019年秋に養子縁組の許可を得ることとなり、その後すぐに、在留資格「定住者」の申請で許可が付与されて現在に至っている。



簡単に記述すれば、上記の通りにわずか4~5行の成り行きとなる。


しかし、具体的に審判の管轄地を日本とすることができる根拠先例の調査、インドネシア法令の解釈調査、家裁調査官への進捗確認など、現実の作業は大変手間のかかるものであった。

また、なかなか進捗しない手続きに、「短期滞在」という不安定な在留資格(中長期在留者に非該当となるため、健康保険あるいは社会保険への加入ができない。また、3ヶ月毎に在留審査を受ける必要がある。)で滞在する幼子を案ずるご夫婦の思いが、いらだちと不安となっている様子を見続けねばならなかった。

一方で、ご夫婦と幼子の情愛が、日々育まれ、お互いを慈しみ、実質的な親子関係が構築されていく様を、折に触れ拝見することとなり、とても貴重な経験になった。



われらの使命は、依頼人の希望を現実に近づけていくための、具体的な手順を探し、具体的な手続きの遂行を補助していくことである。


それは、時に、大変な時間を要する場合があることをこの事案から経験したが、プロとして事案に関わるとき、依頼人と同じ目線を持続しながら、別の視点で案件を俯瞰していなくてはならないことをまた、学んだ。
依頼人が不安に陥っているとき、希望をつなぐ冷静さを失ってはならない。


情を理解して情に流れず、平静をもって次の一手を考察すべし。








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