(POWER) 実習生から届く力。

~困難な局面をどのように乗り切るのか~

2020年1月初旬、フィリピンマニラ国際空港では、近隣火山の爆発により滑走路の視界が基準を下回ったため、航空機が離発着できない事態が発生した。

この折、小職が携わらせていただいている技能実習生5名が、2号技能実習後の一時帰国を終えて日本に再入国するため空港付近で出国の準備をしていた。彼らが出発予定の便は、火山爆発の翌日であった。

結局、彼ら5名は、滑走可能となるまで48時間以上を空港内にて待機し、その後も1週間近くを空港の所在する都市にある関係先機関にて過ごしたようである。
やがて、当該空港からは、滑走可能となった便より順次運航されたが、彼ら5名が当初予定していた航空便は一旦キャンセルされたことから、彼らが搭乗できた便は、当初の入国予定港ではなく、勤務地の愛知県から離れた大阪にある関西国際空港に到着の飛行機となった。

彼らの難航はさらにつづく。

関西空港に到着した便は、深夜着であった。彼らは、見知らぬ大阪の街で一夜を過ごせる宿泊所を探したが、結局、宿泊施設を確保することができず、市街の24時間営業のカラオケ店で休息した。

そして彼らは翌朝、勤務地のある愛知県に移動したが、大阪から愛知県までの行程は、はじめて乗車する電車での移動となり、3時間程かけて普通電車で名古屋駅まで移動することとなった。名古屋駅に到着した時間が8時頃であったので、遅くとも5時前には宿泊した場所を出発したと推測している。

その後、彼ら実習生を世話している監理団体の職員が名古屋駅付近で彼らを出迎え、彼らはようやく職員の運転してきたハイエースで休息することができた。

在留申請手続きの為に、駅付近で待機していた小職は、彼ら5名が、職員のバンに乗った後、ハイエースから10メートルほど離れた場所で、車窓越しに彼らと対峙した。在留申請に必要な書類は、当該職員が小職のいる場所まで運んできてくれたからである。

それらの書類を確認した後、彼らの難航へのねぎらいと、行程をやり遂げたかれらへの励ましをこめ、車窓にむかって手をふると、車窓から見える何名かの影が、大きく手を振りかえしてくれた。頭をさげてくれた子もいる。ずいぶんな疲労の後に元気な様子でこたえてくれる。


この仕事にたずさわって、様々な環境を生きている依頼人たちからおしえられる事がある。
それは、依頼人たちの発する言葉や、生きざまそのものから、伝わってくる。


この5名の実習生からは、「遂行していく強さ」をおしえられた気がする。
その「強さ」とは、ことさらに「がんばっている」と主張することなく、現実を受け入れて苦難をできるだけ淡々とやり過ごし、希望を持ち続け、自分の今を生きていくことであると理解した。




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